内容紹介
ある雨の降る日の午後であった。私はある絵画展覧会場の一室で、小さな油絵を一枚発見した。発見――と云うと大袈裟だが、実際そう云っても差支えないほど、この画だけは思い切って彩光の悪い片隅に、それも恐しく貧弱な縁へはいって、忘れられたように懸かっていたのである。画は確か、「沼地」とか云うので、画家は知名の人でも何でもなかった。また画そのものも、ただ濁った水と、湿った土と、そうしてその土に繁茂する草木とを描いただけだから、恐らく尋常の見物からは、文字通り一顧さえも受けなかった事であろう。
※本作品中には、今日からすると不適切な表現が見られますが、作品の時代背景と著者の意図を尊重し、そのままの形で配信いたします。
目次
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沼地
朗読時間:7分26秒

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著者情報
朗読者情報
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伊東孝明
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オスカープロモーション所属
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レビュー
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傑作とは、それを見る人が傑作だと思えば傑作だし、
傑作だと思えなければ、傑作ではない。
鑑定団で千円と評価されても、
本人にとっては傑作である。
傑作とは沼地のようでスッキリとはいかない。 -
芥川龍之介の作品に、こんなものがあるとは知りませんでした。やっぱり便利。キクボンは
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画家の名前で無く、その迫力と渾身の力を込めた作品を評価した芥川の人柄がうかがえる作品です。世界に一人でもわかってくれる人がいたら、画家にとってこれほど幸せなことはないと思いました。
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