主人公が犯罪を犯すに至る心の動きを時間の流れとともに見事に描写されています。一般人には到底理解できない心理ですが、著者はなぜこのように巧みな文章でもって描写できるのでしょうか。
終盤で小五郎によって犯罪が暴かれていくわけですが、人を観察していると少しの変化でも見逃さなければ、そこに答えが転がっているものですね。自分もそのような観察眼を常日頃から養っていきたいものだと思いました。

おかしいな。犯人の嗜好柄、ねっとりとした、どこか後ろめたい暗い雰囲気の話だったはずなんです、以前本で読んだ時は。
ところが、明るく優しい声質で語られるから？　重苦しい感じもなく、犯人目線で自分も屋根裏で冒険している気分。不思議なくらいドキドキわくわくしました。
そして、登場した明智小五郎がなんと魅力的なこと！お茶目で穏やか！明るく爽やか！
えー、明智小五郎ってこんなに魅力のある人でしたっけ？　あらためてファンになりました。

屋根裏というのはいつの時代でもワクワク感がある場所。そこから人の様子を見られるというのは個人的には興味がないが、主人公と一緒になって様子を楽しめてしまった。スゴイ収入とか、スゴイ家庭とかそういったぶっ飛んでる所、どうにも理解できなかった。