内容紹介
保吉はずつと以前からこの店の主人を見知つてゐる。
ずつと以前から、――或はあの海軍の学校へ赴任した当日だつたかも知れない。彼はふとこの店へマツチを一つ買ひにはひつた。店には小さい飾り窓があり、窓の中には大将旗を掲げた軍艦三笠の模型のまはりにキユラソオの壜だのココアの罐だの干し葡萄の箱だのが並べてある。が、軒先に「たばこ」と抜いた赤塗りの看板が出てゐるから、勿論マツチも売らない筈はない。彼は店を覗きこみながら、「マツチを一つくれ給へ」と云つた。店先には高い勘定台の後ろに若い眇の男が一人、つまらなさうに佇んでゐる。それが彼の顔を見ると、算盤を竪に構へたまま、にこりともせずに返事をした。
※本作品中には、今日からすると不適切な表現が見られますが、作品の時代背景と著者の意図を尊重し、そのままの形で配信いたします。
目次
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あばばばば
朗読時間:24分59秒

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著者情報
朗読者情報
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入絵加奈子
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オスカープロモーション所属
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レビュー
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朗読が上手い。書籍で読んだときより面白く感じた。タイトルも聞けば納得。
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朗読の声の表現がとても素晴らしかったです。特に娘の可愛らしい声から母になってからの勇ましい声のギャップも面白かったです。また、あばばばば とはどう言う事なのかやっと分かりました。
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子どもができた女性の変化を芥川らしい表現で作品化したものです。朗読も面白かったです。
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